砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドがいつの間にか出迎えに来ていた。


「待っていたぞ?」


堂々とそして優雅な所作で莉世の前に立つ。


「お兄様・・・」


自分たちはこの場にいるすべての者に注目を浴びていた。



ラシッドは先に席に向かう。


莉世は慌てるようにラシッドの後ろを追った。




そんな姿を悔しそうに見ていた女がいた。


タヒールの娘、ファティマだ。


自分はまだ殿下と目も合わせていないのに、殿下自ら出迎えて見せ付けるような事をするとは。


くやしくて真っ赤な唇を噛んだ。


「大丈夫だ 我が娘、お前がこの国で一番美しいのだから」


父親が悔しそうな娘を見て慰めた。



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