砂漠の王と拾われ花嫁
嫌っ!

お兄様、ファティマを見ないでっ!


見事な踊りを眺めているラシッドに莉世は計り知れない嫉妬心が芽生えた。



「いかがでしょう 殿下、娘は今すぐにでも王妃になれる覚悟は出来ております」


タヒールが娘をラシッドに勧めている声に莉世は耳を塞ぎたくなった。



「ファティマは美しくなった ダンスも素晴らしい」


ラシッドの言葉ひとつひとつに莉世は傷つく。


「我が娘は王妃になるための勉強を小さい頃から教えておりますゆえ、お気に召されると思います」


先日、そっけなく話をそらされたタヒールは皆の前で言った。


そうすれば、他の王妃候補にも牽制出来る。



< 139 / 491 >

この作品をシェア

pagetop