砂漠の王と拾われ花嫁
「何をしている!やめないか!」


ラシッドの怒りを含んだ声が聞こえた。


途端に音楽が鳴り止みその場がシーンとした。



「リセ!何をしている!」


ラシッドの剣幕に莉世は何がなんだかわからず近づいてくるのを見ているだけだった。



痛みで考える事が出来ず、莉世の顔が歪んだ。



「リセ!」


ラシッドは莉世の痛みに気づいた。


「バカな事を!」


ラシッドは今にも倒れそうな莉世の膝に手を差し入れ抱き上げた。



「部屋に戻る お前たちは続けると良い」



莉世の体重を感じさせずに颯爽とした足取りで宴を後にする。


その後を側近たちが続いた。



< 146 / 491 >

この作品をシェア

pagetop