砂漠の王と拾われ花嫁
「タヒール様」


ラシッドが莉世を抱き上げ行ってしまうと、タヒールの足元に膝を折る男がいた。



「なんだ?イムラン 見事な踊りであったぞ?」



イムランは顔を上げて年老いた顔を見る。



「わたくしは姫様が気に入りました」



堂々とはっきりした口調でイムランは告げた。



「おおっ、お前も姫君を気に入ったのか あの娘は美しいからな なんとも価値のある娘よの」



タヒールはたくさんの男から求婚されるように踊らせたのだ。



そうなればラシッドから莉世は離れ、ファティマの方へラシッドの気持ちが向くと考えた。



だが、今の出来事は予想外だった。



自分の女のように殿下はあの娘を連れて行ってしまった。




< 147 / 491 >

この作品をシェア

pagetop