砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドが去ってしまった方をファティマは悔しそうに見ている。



きれいに化粧が施されたアイラインが涙でにじみそうな位だ。



「ファティマ、気にすることない あの娘は殿下にとって妹に過ぎない」



タヒールは泣きそうな愛娘の肩に手を置いて慰めた。



イムランが莉世を気に入ったと言った時、タージルも傍にいた。



タージルも莉世の剣の舞には見惚れてしまったほど踊りは見事だった。



左手首にケガをしていなければもっと美しく舞っていただろう。



欲しい・・・姫君が欲しい・・・。


イムランには渡したくない。



父親の元で従順に過ごしてきたタージルだが、喉から手が出るくらい欲しい存在が出来た。



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