砂漠の王と拾われ花嫁
「アーメッド、侍医を呼べ」



莉世のふくれっつらを見ながら後ろを歩くアーメッドに告げる。



侍医の手を煩わせる事は無いのに・・・と莉世は思ったが、左手首が酷く痛むのは確かでこの痛みを早く緩和して欲しくなっていた。



左手でスリットに手を伸ばそうとした。


っ・・・


左手の感覚が麻痺しているようで手が布地をつかめない。




タヒール大臣はファティマをお兄様の后にしようと必死なんだ。



それには私は邪魔者。


でも私を踊らせた意図は・・・?


踊りを失敗して無様(ぶざま)な格好を皆に見せる為?


途中でお兄様がやめさせなかったら私は剣を落とし失敗をしていただろう。



でも今日の私の舞はライラ先生が見ていたらきっと誉めてくれたはず。


あのイムランという青年の舞はすごかった・・・。



周りの事はすべて忘れさせてくれる位、見事な舞だった。



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