砂漠の王と拾われ花嫁
「何をためらっている 何でも答えるから言ってみなさい」


ラシッドが優しく伺う。



「・・・お兄様」



目と目が合い、莉世はもう一度ためらった。



お兄様の結婚話に私が口を出すべきではない・・・。



「なんだ?」


「・・・いいえ なんでもありません」


莉世は首を横に振った。



「なんでもないだと!?」


莉世の言葉が気に入らないラシッドは立ち上がるとにらみつける。



他の者ならばラシッドに睨まれれば心の底から震え上がるだろう。



だが、莉世は平然とその英知を秘めた瞳を見つめるだけだった。



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