砂漠の王と拾われ花嫁
莉世の寝室を出たラシッドはまだ腹を立てていた。


「アーメッド、酒を注げ」


控えていたアーメッドに命令するとすぐに杯に酒が注がれた。


アーメッドにもラシッドが怒鳴る声が聞こえてきた。



姫君は何をこんなに殿下を怒らせたのか・・・。


こんなにイラだつ殿下を見るのは久しぶりだ。


「リセは何を考えているのだ!」


思わずラシッドが口に出す。


「ラシッド様、あまり妹君をおかまいになるのは・・・」


アーメッドが言うとラシッドが鋭い視線でにらみつける。


「私に忠告をすると言うのか?」


「い、いえ・・・」


姫君は早く誰かの元へ嫁ぐべきなのだ。


姫君は美しく聡明であるが、ラシッド様の后には向いてはいない。


この世界の人間ではないのだから。



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