砂漠の王と拾われ花嫁
マハルはタージルを部屋に入れた。


本当ならば独身の女性の部屋に親、もしくは後見人に断りもなく入ってはならない。


「この事は内緒ですよ?」


「もちろんです ありがとうございます」


タージルは嬉しそうに言った。


一歩、姫君の部屋に入るとジャスミンの爽やかな香りがした。


「あちらでございます」


マハルに案内されて見ると薄い布が張られた四柱式の天蓋ベッドに莉世が眠っていた。



タージルは近づくとこちらを向いて眠っている莉世をまじまじと見る。


やはり美しい。


栗色の髪は艶やかで枕に広がり、長いまつげは頬に影を落としている。


形の良い唇は手入れが行き届いて思わず触れたくなるほどだ。


シミ一つない肌に唇をつけたくなった。



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