砂漠の王と拾われ花嫁
「お・・にい・・さま・・・」


その時、莉世が寝返りと共に呟いた。


その言葉はタージルの耳にはっきり聞こえた。


お兄様!?


姫君はラシッド殿下の夢を見ているのか?


抑えきれないほどの嫉妬が湧き上がる。


姫君はラシッド殿下が好きなのか?


「タージル様」


マハルが小声で呼ぶ。


「え?あぁ 寝顔も美しい方だ・・・・」


タージルはもう一度向こうを向いてしまった莉世を振り返り見ると部屋を出た。




< 172 / 491 >

この作品をシェア

pagetop