砂漠の王と拾われ花嫁
「リセっ!!!!!」
茶毛の馬は莉世が地面に倒れると今度はラシッドに向かって走ってきた。
「!!」
ラシッドは身を避け厩舎から出た。
茶毛の暴れ馬を莉世から離したかったのだ。
厩舎の中にいれば莉世が踏まれてしまうかもしれない。
厩舎を出ると暴れ馬は再びラシッドに牙を剥いた。
「ラシッド殿下!」
水汲みから戻ってきたカリムはその光景に驚いた。
「侍医を呼べ!」
襲い掛かろうとする暴れ馬。
ラシッドは身をひるがえしてその馬の背に乗った。
「早くしろ!中で莉世が倒れている!」
暴れる馬の手綱を持ちながらラシッドは叫ぶ。
「姫様が!?」
カリムは心臓が止まりそうなほど驚いた。