砂漠の王と拾われ花嫁
「お父様、どうしたのですか?」



ファティマが部屋に予告もなく入って来た父に驚く。


昨日までの苦虫を噛み潰したような表情はなく笑っている。



その顔にファティマは眉根を寄せる。



「すごいニュースだぞ!娘よ」



「ですからどうしたのですか?」



「あの娘の左手は動かないそうだ」



「あの娘って・・・リセの事?左手が動かないって!?」



「まったく動かない左手ではラシッド様の后にはなれまい」



タヒールが娘を抱きしめた。



「お前が未来の后だ」



「お父様、ではリセはお兄様の妻になるのかしら?」



「それは駄目だ!我が家にそのようなものを入れるわけには行かない」



タージルがなんと言おうが結婚はさせまい。



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