砂漠の王と拾われ花嫁
* * * * * *
中庭から風に乗ってあの曲が聞こえてきた。
莉世はベランダに出て下を見るとイムランがいつものように噴水の縁に座り楽器を弾いていた。
音が鳴り止んだ。
莉世はとっさに隠れようとしたが、上を向いたイムランの瞳と目が合ってしまった。
「姫様、よろしければ下へ降りてきてください」
イムランが歌うような声で莉世を誘う。
莉世は困った。
「傍に来て音楽をお楽しみ下さい」
更に言われて莉世は下へ行く事にした。