砂漠の王と拾われ花嫁
会議場を退席したラシッドにタヒールは何かあったのだと感じた。



タヒールは会議場から出るとラシッドが馬に乗り宮殿の外へ出た事を耳にした。



そして側近の者たちもその前に血相を変えて出て行ったと聞いた。



「何事か、一大事があったようだな」


タヒールはにやっと笑った。



厩舎に行くと馬番たちが集まっていた。





「何をしているのだ?」


タヒールを見て一同は頭を地面に着くくらいに低くさげた。



「姫様が砂漠へ行ってしまわれたのです」



莉世をシラユキに乗せるのを手伝った馬番が言った。



「なんと!姫君が!」



驚いた振りをしたタヒールの内心は喜びに湧いた。



わしが手を下さずともあの娘は自ら命を絶ちに行った様だな。




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