砂漠の王と拾われ花嫁
* * * * * *
ラシッドが帰り支度をしている。
「お兄様・・・帰らなくては・・・ダメ?」
莉世にとってここは天国のようだ。
ここにいれば邪魔な者はいない。
「皆が必死になって探しているだろう」
「・・・・」
そうだったわ・・・わたしを探しに皆が砂漠に出ている。
お兄様まで巻き込んで宮殿中、大騒ぎになっているかも・・・。
莉世は弱々しい笑みを向け頷いた。
「良い子だ またここへ連れてきてあげよう」
ラシッドもここを離れがたい。
しかし今は帰らなければならない。