砂漠の王と拾われ花嫁
とにかく火を焚かなければ。



蒼白の顔色になってしまったラシッドは寒そうだ。


莉世は涙を手の甲で乱暴に拭いた。


ラシッドから離れないように近くに転がっている枯れ木を拾い集める。



そして昨晩焚き火をした場所へ行くと木の棒でかき混ぜる。



「あった!」



まだ奥の方で火種は消えていなかった。



莉世は顔を近づけ息を吹く。



「ふーっ」



そして枯れ木をそっと置く。



「これで火がつくと良いんだけど・・・」



自分ひとりでは火を最初から点ける事など出来ない。



「ふーっ」


もう一度息を吹きかけた。



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