砂漠の王と拾われ花嫁
莉世の顔から血の気が引いていくのがラシッドには分かった。



「リセっ!」



ラシッドは莉世にふらつく足で近づいた。



吐いている場合ではないと莉世はもう1人の男に剣を構えた。



莉世が切った男はあまりの痛みに地面に倒れ悶えている。



「ふ、ふざけるつもりだけだったんだ」



五体満足の男は1人だけになり言い訳を口にした。



ラシッドはぶるぶると震え始めた莉世から剣を取り上げた。



「向こうへ行っているんだ」



これ以上、酷い状態を莉世に見せたくない。




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