砂漠の王と拾われ花嫁

危機








ぐっすり眠っていたはずの莉世の顔が歪み呼吸が荒くなった。


「い、いやっ お兄様!助けて!」


大きく首を振りながら足をバタつかせる。



「リセ、リセ!目を覚ますんだ」


うつらうつらとしていたラシッドは莉世の叫び声で目を開け起こそうとした。



「リセ!」

その声にビクッと身体を震わせ震えるまぶたを開いた。


「ぉ・・にい・・様・・・」

ポロポロと涙を流す莉世にラシッドは身体を起こし膝の上に乗せた。



「さっきの・・・男たちが・・・」


悪夢を見ていたのだ。


心臓がドキドキと脈打つ。



「心配は要らない」


ラシッドは莉世の身体を抱きしめた。


ギュッと抱きしめられているが莉世は不安な心を拭えなかった。






< 358 / 491 >

この作品をシェア

pagetop