砂漠の王と拾われ花嫁
* * * * * *
ラシッドが素早い所作でガラーナの背に乗った。
「リセ、来なさい」
アクバールに抱き上げられて莉世はガラーナの背に落ち着いた。
そして翌日の明け方、一行はオアシスを離れた。
しばらく行くと腕の中の莉世の頭がラシッドの胸にもたれた。
リセ?
暑さ避けに頭まで長衣で包まれた莉世を覗き込む。
「!」
目を閉じた莉世は苦しそうな呼吸を繰り返していたのだ。
ラシッドはガラーナを止めた。
「リセ!?」
莉世の額に手を置くとかなり熱い。
ラシッドの呼びかけにも目を開けない。
意識が朦朧としているようだ。