砂漠の王と拾われ花嫁
「お父様!ラシッド様が戻られたと聞きましたわ!」
父親の大臣室へ入るなりファティマが笑みを浮かべて上機嫌に言った。
そこには机に向かったタージルもいたが妹をちらりと見ただけで書類に目を落としたのだ。
莉世が一緒に戻りタージルは安堵したのだが、熱を出してふせってしまったと聞き心配していた。
ファティマの喜びはラシッド殿下だけの事。
「おぉ、お前の耳にも入ったか」
タヒールは自慢の娘に目じりを下げる。
「もちろんですわ 殿下が戻られたらすぐに教えるように門番に言っておいたのですから あの娘が戻ってきたのはとても残念ですわ」
平気でそのような事を口にする妹に辟易するタージルだった。
持っていた資料を机に乱暴に音をたてて置くと部屋を無言で出て行ったのだった。
父親の大臣室へ入るなりファティマが笑みを浮かべて上機嫌に言った。
そこには机に向かったタージルもいたが妹をちらりと見ただけで書類に目を落としたのだ。
莉世が一緒に戻りタージルは安堵したのだが、熱を出してふせってしまったと聞き心配していた。
ファティマの喜びはラシッド殿下だけの事。
「おぉ、お前の耳にも入ったか」
タヒールは自慢の娘に目じりを下げる。
「もちろんですわ 殿下が戻られたらすぐに教えるように門番に言っておいたのですから あの娘が戻ってきたのはとても残念ですわ」
平気でそのような事を口にする妹に辟易するタージルだった。
持っていた資料を机に乱暴に音をたてて置くと部屋を無言で出て行ったのだった。