砂漠の王と拾われ花嫁
「っ!」


ファティマの手は莉世の左腕を掴んだのだ。



「離して!」


莉世は身体を動かしてファティマの手から逃れた。



「左手が動かないのは本当の事なのですね?」


同情したような声。



これは貴方の父親がやった事よ。と言いたかったが言えない。


「良い事を教えてあげるわ」


人差し指を自分の口元に置いて微笑むファティマ。



「良い事・・・?」


「この国には秘薬というものがあるの」



「秘薬?」



莉世は耳慣れない言葉を聞いて聞き返していた。


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