砂漠の王と拾われ花嫁
お兄様に言ってから秘薬を飲もうか・・・。


ううん わたしが悪い子だって知ったら・・・失望する。



でも治った後なら笑って許してくれるはず。



その時、王たるラシッドがなぜそ秘薬の事を知らないのか考えもしなかった。



ラシッドは知らないのではなく、秘薬は危険なものだと知っており莉世に勧められなかったのだ。



莉世がこの世界へ来た時、今にも死にそうな莉世にラシッドは秘薬を飲まそうと侍医に命令した事があった。



が、侍医に何が起こるかわからないと言われとどまったのだ。



あの時は莉世を大事に思っていなかったから平気で言えたが、今は違う。



大事な愛しい莉世にもしもの事があってはと秘薬を考えなかったのだ。



左手が動かなくともラシッドにとっては気にする事はなかった。



莉世自身を愛しく愛しているのだから。




< 410 / 491 >

この作品をシェア

pagetop