砂漠の王と拾われ花嫁
年頃になって莉世はしだいにラシッドを意識し始めるようになってきた。


ラシッドの好むドレスを着て勉強を習う。


嫌われたくないから。


4年も経つとこの世界が現実で、その前は夢のように思えてきた。


毎日パパとママ、お兄ちゃんの事は忘れないように顔を思い出すようにしている。


そうしないと自分が何者なのかも分からなくなってしまいそうだった。





「姫様、そんなにご心配なさらずとも今日中に殿下はお帰りになられます」


ぼんやりしているの見てマハルはラシッドの事を心配しているのだろうと思ったらしい。


「え?うん お兄様の事は心配してはいないわ」


大きなグリーンの瞳を向けられるとマハルはエメラルドの宝石を思い出す。


一度しか見たことがないが大きな光り輝くエメラルド。


莉世の瞳はこの国、どこを探しても持つ者はいない。


宝石のような瞳を持つ少女は宝石のようにラシッドに大切にされて光り輝いていた。


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