砂漠の王と拾われ花嫁
「そうか、お前には迷惑をかけたな この償いは後でさせてもらうぞ」



ラシッドはファティマに自分の飲んでいたグラスを渡すと酒を自ら注いだ。



「頂かせていただきます」



ファティマはたっぷり注がれた酒をゆっくりすべて飲み干した。



いつになく優しい表情を浮かべているラシッドを見てファティマはやはり欲しいと思ってしまう。



でももうすぐ殿下はわたくしのモノになるわ。



お父様がリセを殺してくれる。



ファティマはにっこりラシッドに笑みを見せるとグラスを召使いに渡した。



「それではもう戻らせていただきますわ」



ファティマは優雅な所作で立ち上がった。



「いや、特例を認めよう お前はここにいるが良い」



ラシッドはファティマに座るように命じた。




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