砂漠の王と拾われ花嫁
「リセの唇に触れる者がいるとすれば、それはわたしだけだ」


ラシッドが事も無げに言う。


「殿下、それはなりません 殿下に万が一の事があればわが国は・・・・」



侍医はやはり『秘薬』を勧めなければ良かったと思った。


アクバールも驚いたが姫様を愛しているラシッド様ならば誰かに姫様の生死をゆだねる事はしない。







「では・・・・くれぐれも飲み込まないで下さい 姫様に飲ませた後はすぐに口の中をすすいで下さい」


侍医は苦い顔をラシッドに見せた。


「むろん リセが目覚め、わたしがどうかなってはたまらないからな」


ラシッドは満足げに頷いた。


「では『秘薬』を持ってまいります」


侍医は部屋を出て行った。


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