砂漠の王と拾われ花嫁
「アクバール、居間へ来てくれ」


莉世の部屋にマハルを残し、ラシッドはアクバールを呼んだ。






居間に入ると先に入ったラシッドは窓の外を見ていた。


後姿を目にしてアクバールはラシッドの覚悟がわかった。


「アクバール、リセが助かり・・わたしにもしもの事があれば・・・この先リセを守る者が現れるまで守ってくれ」


「殿下!何をおっしゃいますか!」


ラシッドが死ぬなどと考えられない。


「お前しか頼める者はいない リセが不自由のないように面倒を見てくれ」


振り向きアクバールの目を見る。


「・・・・もちろん全力をかけて姫様はお守り致します ですが・・・・」


自分の為にラシッド様が亡くなった場合、姫様はどうなってしまうだろうか。


「わたしは死ぬつもりは毛頭ない 何百万分の1の話をしているんだ」


ラシッドは片手をアクバールの肩にポンと乗せて笑った。



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