砂漠の王と拾われ花嫁
ひどい痛みだったが莉世は「痛い」と声をあげない。


叫べば余計に力が加えられるだろう。


過去にもこの男に乱暴された事があった。


やはり今回と同じに髪の毛に触れて、抵抗されない事をいい事にキスをしようとしたのだ。


逃げようとすると頬を叩かれた。


幸いマハルが来て助かったのだが、この事をラシッドに言えばひどい目に合うぞと脅したのだ。


脅されてその時の事をラシッドには言わなかった。


ラシッドを支える大臣の一人なので莉世は事を荒立たせたくなかったのだ。


痛みを紛らわそうと視線をそらした時、厩舎の隅でカリムが震えているのが目に入った。




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