砂漠の王と拾われ花嫁
人の気配を察し、タヒールは乱暴に莉世の腕を離した。


「おや、手首が腫れてしまったな なんと華奢な娘だ この事を殿下に話せばそこにいる馬番は生きてはいられないだろう」


脅しの言葉を言うと去って行った。




自由になった莉世はガクッとその場に座り込んだ。


「姫様っ!」


隅で震えていたカリムが駆け寄ってきた。


「ごめんよ 姫様!何も出来なくて」


見ているだけで何も出来なかったカリムは、莉世に泣きそうな顔をして謝った。


「いいのよ カリム 貴方が立ち向かったら持っている剣で殺されてしまうもの」


痛みを和らげようと手首をさする。


手首はすでに腫れ上がっている。


骨が折れるかと思った・・・。



< 59 / 491 >

この作品をシェア

pagetop