砂漠の王と拾われ花嫁
「そ、そう・・・わかりました」


莉世はマハルに頷いて居間へと続く扉を開けた。


ラシッドは絨毯に座り、くつろいだ姿勢でいた。


手には杯(さかずき)を持って酒を飲んでいる。


扉の音にラシッドが向いた。


「リセ こちらへ来なさい」


「・・・はい」


一呼吸してラシッドの傍へ行った。


莉世が近づくにつれてハッカの匂いが強くなった事に気づく。


「リセ?怪我をしたのか?ハッカの匂いがする」


莉世が目の前に座る。


「ちょっと腰をぶつけてしまったの さっきマハルに塗って貰ったから」


腰ならば見られることはない。


「そうか、気をつけるように」


そう言ってラシッドはクイッと杯の中身を空けた。




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