砂漠の王と拾われ花嫁
「姫様、わたしめに診せてくださいませ」


莉世の目の前に侍医はひざまずき、そっと左手首の袖をまくった。


「これは・・・ひどい・・・」


侍医はひと目見て、その怪我が強い力で握られたものだと分かった。




ライラが塗った薬より強い薬を塗りこみ布で巻かれた。


カバンの中から痛み止め粉薬の瓶を取り出す。


「こちらを飲んでください かなり痛むはずですから これを飲めば痛みが和らぐでしょう」


そして軽い睡眠作用もある。


傍にいたマハルが水を持ってきた。


薬の苦さに顔をしかめたものの、痛みが和らいでくれるのはうれしい。


また明日、来ると言って侍医は帰って行った。



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