砂漠の王と拾われ花嫁
左手首は動かすだけでまだ痛かったが、昨日のような酷い痛みは無くなった。


莉世は心の中でホッとした。


早く治ればみんなも忘れてくれる。


絶対にカリムを殺させない。


ラシッドに言ってカリムを保護させる事は簡単だが、タヒール大臣はこの国の有力者。


私を怪我させたぐらいで罰は下されない。


カリムは殺されないまでもこれからあの卑劣な大臣に目を付けられてしまう。


私が黙っていればいい・・・。


「姫様?」


「ん?あ・・・マハル、お腹がすいたわ すぐに用意してくれる?」


莉世は明るくマハルに頼んだ。




< 97 / 491 >

この作品をシェア

pagetop