三澤斗春と集められた名探偵。
ヒントを置いて行く?
「何、言ってるんですか?」
三澤は、亜九谷の問いに応えないままミスり探偵を、見つめ続ける。
「はいはい……」
折れたのは、ミスり探偵だった。
「ヒントですか?えーと……『予備電源の照明は、ほの暗かったです』。後、『探偵王さんなんかは、ダイヤが見えないなんて、おっしゃってましたが、近付いたら見えたそうです』。それと『ダイヤを置いていた台は、なかなかの低さでした』。……このくらいで、大丈夫じゃないですかね。あなたなら」
「せんきゅー」
上機嫌そうに三澤は、手をひらひらとさせた。
対して、ミスり探偵は苦虫を噛んだような顔をしていた。
「なんで、僕が答えを知っていると、分かったんですか?」
「んあ?快盗の話なのに、奴の名前を出さなかったことと、盗まれたって単語を使わなかったこと、かな……あとは、勘」
ミスり探偵は呆れたような表情を作った。
「相変わらず、妙に鋭いですね」
「おぅ、まかせろ」
「声なんか掛けなきゃ、よかったよ」
唇を尖らせて、自分の行動を顧みながら、ミスり探偵は踵を返した。
彼は、最後にこう言った。
「あーぁ、失敗(ミス)ったな」