三澤斗春と集められた名探偵。
悔しくはありません。
「うぉー、暇だぁー」
場所はいつもの探偵事務所。
所長の椅子に張り付くように座りながら、三澤は存分に暇を持て余していた。
「亜九谷……なんか、面白いことして」
「すごい無茶ブリですよ、それ」
適当に資料を整理しながら、亜九谷は応えた。
この事務所は、異様に資料が整理されている。
それもそのはず、時間は嫌と言うほどありあまっている。
ふと、三澤は顔を上げ、事務所内を見渡した。
いつものメンバーには、一人足りない。
「……そう言えば、長倉は?」
「え、昨日から、鹿児島に旅行に行ってますよ」
「聞いてねー!」
「いや、言ってましたよ」
三澤は記憶を辿り、理解した。
「あぁ、そうか。昨日の業務がハードだったから、あんまり記憶ないんだ」
「確かに、一日中ドラクエのレベル上げを延々やるなんて、ハードですよね。報酬は入りませんけど」
「うっせー。仕事来いー、すぐに来い〜。でも、あんまりたくさんは来るなー」
三澤は、そう言うと椅子の背を倒した。
完全に寝る気だ。
「はぁ……」
そんな三澤の姿に呆れながら、亜九谷は時計を見る。
昼休みには、少し早かった。