「聴きた〜い」

「いや、あ、それは……」

「もう逃げられないからな!」

「お、俺は喉乾いたからドリンクバー行ってくるから先に歌ってて」



そして俺は一旦逃げた。



ゆっくり行こう。

そして考えるのだ。

どうすれば歌わずに済むのか。



知ってる歌はないとでも言っとくか?

それにはあまりにもムリがあるだろう。



小さな声で歌う?

いや、マイクを入れれば聞こえてしまう。

それに逆に耳を澄ませて俺の声を聞き取ろうとしてくるかもしれない。



ちゃんと歌えとかいろいろ言われて結局……。



コーヒーを汲み終えてしまった。
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