「結局みんなそこにたどり着くんだろ?梅亜にこだわって俺を見ない」

「……宇崎?」



一度溢れた思いは、止まることを知らない。



「梅亜梅亜、口を開けばみんな俺を梅亜とかぶらせる。俺は梅亜じゃない、俺は要なんだ、歌っていない俺はただの宇崎要なんだよ!」



次から次へと放たれる言葉。

俺の中に眠る俺への嫉妬。

必死になって、自分を認めてもらおうとする。



「梅亜が一生の存在だとしても、宇崎要はただの高校生だ。宇崎要がいらないなら俺は――…」



そこまで言ったところで突然ガチャっと扉が開かれ、その音のした方へ顔を向ける。

そこにいたのは今日この場にはいるはずのない人で、とても馴染みのある顔で。



パチンッ...。



気付けばその人に俺は、ビンタされていた。
< 122 / 410 >

この作品をシェア

pagetop