ふと、菅原が言った。


「……あ……ごめん」

「大丈夫。信じられない気持ち、少しだけわかるから」


菅原にも信じられなかった頃があるってこと?


「人は必ずどこかに不安を抱えてる。それが他人に向けられただけ。一つを疑うとどんな言葉も疑って、奇麗事に聴こえる」

「……そんなかんじ」

「自分は他人の気持ちがわからない。疑うのは当然のこと。それでも信じてみようと思うことで、世界が広がるんじゃないかな?」


疑ってもいい。

でも最終的には信じてみることで世界が広がる……ってことか。


「慣れれば自然と信じるようになるから、大丈夫。心があるんだから、そうゆう感情があるのは当たり前よ」
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