Q
春の昼下がり、一本の木の下で穏やかな外の風にあたり、つかの間の昼寝タイム。
2年で転入してきたばかりでこの学校のことをあまりまだ知らない。
俺は外が好きだ、この青空が好きだ。
だから昼はいつも外で、この青空の見える場所で寝ている。
友達?そんなもの、転校して来たばかりの俺にはいるはずがない。
──まぁ、今は作る気すらない。
昼休みのこの時間は、いつも遠くが騒がしいような気がする。
いつもどこかで、どこかのその場所で、騒ぎが起きている。
わーだかきゃーだか言ってる歓声のような声が、どこからか聞こえる。
有名人でも他にいんのか?
……まぁ、いてもおかしくないだろう。
──今日はなんだか、その音が近付いて来ている気がする。
気のせい……ではないらしい。
確実にもう10mを切っているだろうその騒がしい奴らを確認するように、右目を開く。
眩しい景色の中、髪の長い女を中心に、誰かが、迷いなくこちらに歩いて来ているのが見える。
……俺に向かって、一直線。
よく見ると、その女だけ他の奴らと制服が違った。
特待生かなにかか?
俺たちと違い、白を基調としたその制服は、彼女にとても似合っている。
背筋を伸ばした凛々しい姿に、俺を一直線に見詰めて迷わず距離を詰めてくるその姿に、俺までもがいつの間にか目を奪われていた。