「これでしっかり頼める。涼歌を幸せにしてやって。人一倍優しくて、人一倍苦労して、頑張ってた。でもコイツは弱いから、支えになってやって」

「ネコさん……」


まさか、そんなこと言われるなんて思わなかった。

まだ諦めないとか、別れろとか……そう言われるんじゃないかと思ってた。


でも……この人は菅原が幸せになってくれればいいと思ってる。

ただ、それだけなんだ。


もしかしたら、今までずっと見守っていてくれたのかもしれない。

俺に任せていいのか、はっきりさせたかったのかもしれない。


学校で菅原に甘かったのも、ついつい甘やかしてしまっただけかもしれない。

紳士と言うより父親に近い感情だっただけなんだ。


今更気づくなんて……。
< 315 / 410 >

この作品をシェア

pagetop