「うわ、まさか忘れてたの!?あんなに優しかったのに、看病してくれたのに、忘れてたの!?可哀想!!めちゃくちゃ可哀想!!」

「……はいはい、悪かったよ」


確かに阿部麻里亜のことを忘れてたのは悪かったけど、そこまで言われる筋合いはない!

ったく叶は……。


そんなことを話している間に、実家に着いたじゃないか。

どうする俺?

行くのか?

行かなきゃなのか?


会うのはあれからもう10ヶ月ぶりだ。


「ほら、行くわよ。あたしだって久しぶりなんだから」


こっちに帰ってくるのが怖くて、夏休みですら帰ってこなかった。

誰かに会って、また友達だと思ってたのにって責められるんじゃないかって、そんなガキみたいなことばかり心配して……。

一番心配掛けてしまっていた親に会おうともせずに……。


「ただいまぁ〜」
< 341 / 410 >

この作品をシェア

pagetop