Q
Qの力
数日後、いつものように雨の中を帰ろうとした俺たち。
しかし今日はいつもと違った。
「傘、ないわけ?」
菅原が靴を履き替えている間に、俺はちょっと気になる子を見つけた。
下駄箱を出たところに、雨空を見上げてひとりでぽつんとしている女の子。
ぼーっとしている。
儚い雰囲気を醸し出しているその女は、雨空を見てため息をつく。
そりゃ気になるって。
声をかけると彼女は振り返り、俺を見て驚いた。
「きっ……Qバッチっ!?」
「いや、そんなに警戒しないでもらえると嬉しいかな」
Qバッチを付けるようになってから変わったことといえば、最初すごく距離を置かれるようになったこと。
でも徐々に慣れてくるようで、菅原曰く、それが俺の能力というか、性格のおかげだと言っていた。