菅原の話の流れからすると、これは名前のことを俺に話すか話さないかという話。

……名前言うのにそんなに緊張するだろうか?



まぁ、聞くメンバーにも問題あるけど……。

何か、あるのだろうか?

そう考えているところに、彼女はすぐにその答えを教えてくれた。



「私の名前、阿部麻里亜と言います」



……アベ マリア?

Ave Maria…?

キリスト?



まず俺が思い浮かべたのはあの有名な曲だった。



「医者のヤブとか、水田にマリって名前つけたりとか」



やぶ医者……。

水たまり……。



「そんなタイプの名前。偶然にもよ。そうなると、何が起こるかしら?」

「何か起きるのか?」

「低レベルな知能を持つ愚民たちによる個人または集団で行われる弱者を落とす行為よ」



菅原は眉間にしわを寄せて心底嫌そうな顔をして、そんな回りくどい説明をした。

弱者を落とす行為……ということは。



「……あぁ、イジメ?」



どうやらこのQ様はその行為が心底嫌いらしい。
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