つまり……彼女がイジメにあってるってことだろうか?

可愛そうだけど……どうにもなぁ。



「傘、持っているんでしょう?」



菅原はそう彼女に尋ねたけれど、傘は手元にはない。



「え?持ってなくない?」

「折りたたみよ。みせなさい」



折りたたみ傘!?

なんで菅原、そんなことまで知ってんの!?



彼女も驚いた顔をして一瞬鞄を隠したけれど、数秒後に鞄の中に手を入れて傘を取り出した。

心を決めたのだろう。



「……コレです」



彼女はカバンの中から、引き裂かれてボロボロになった傘を取り出した。



「これだと、傘の役目も果たさなくて……」



そう言って俺たちから視線を外して苦笑いする菅原のその姿は痛々しかった。
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