Q
こんなにヒドイことをするなんて、唖然とした。
そんな事をするのに値するほどのことだろうか。
だって名前だぞ、自分だけの、自分ひとりだけの大切なものだ。
何にも代えられない名前を、こんな風に痛みつけられるなんて……嫌に決まってる。
「……なんで名前くらいでこんなことしてくるんだ?」
「楽しんでいるのよ。ったく低レベルな愚民共が」
わぁ、口わるいですよQ様。
「今までは疑いはあったけど、決定まではいかなかったの」
そう言った菅原は悔しそうな顔をしている。
「それはなんの事ですか?」
「特に見守るべき人物のリストよ。その中に麻里亜さんも入っていたの」
見守るべき人物リストなんてものがあったのか。
初めて知った。
そのデータもすべて菅原の頭の中に入っているのだろうか。
その膨大な情報が入る脳にはいつも驚かされる。
「名前のことなんだから、親の選択が悪かったんじゃ……」
「泉麻里亜」
彼女はまたビクッと反応した。
「以前の名前よ」
今と苗字が違っていた。