忍抄(しのぶ・しょう)
「俺、映画見たいな!恐いやつがいい!」

 『俺』・・・!

 鳥居は腹を抱えて笑っていた。

「がはは!・・・吾郎!忍はちんちん付いてるぜ!」
「お・・・男?・・・!弟さん?」

 忍が兄を責める様に言った。
「なんだよ!兄貴!俺、よく女の子に間違われるけど、せっかく吾郎さんが映画に連れてってくれるって言ってんだからいいだろ!」

 そして俺を向いて小首を傾げて笑いながら、
「吾郎さん!連れてってくれるんだよね?」


 俺はその顔を吸い込まれる様に見ながら、頷いていた。
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