悪逆の檻
自分は、
観察と分析で生きてきた。
生き延びてきた。
機嫌によって暴力を振るう母親を、
負い目を感じると癇癪を起こす姉を、
弱いところを見せると付け入るいじめっ子を、
排他的と錯覚すると手首を切る友人を、
隙あらば肉体関係を迫る隣の部屋のおじさんを、
保険金のために事故死を画策する祖母を、
自尊心に触れると豹変する彼氏を、
推薦を餌に下着を欲しがる教師を、
仕事の成果のみ搾取する先輩を、
酔い潰して犯そうとする同期を、
給料を掠め取る上司を、
陥れることで昇格を狙う後輩を、
不倫を繰り返そうとする夫を、
観察し、
分析し、
いつだって、その時の最適解を打ち出してきた。