悪逆の檻
「ふぅ」
短く息を吐く。
どのモニターにも、これ以上の情報はない。
自分以外の全員が、次の部屋に進んでいる。
十全とは言えないが、データは充分に集まった。
これで、戦える。
これで、渡り合える。
これで、生き残れる。
立ち上がる。
もう一度、前を向く。
いつも通りでいい。
今まで通りに、
最悪から抜け出す。
ドアノブに手を掛け、引く。
金属の扉は重く、開けるために強めく力を入れなければならなかった。
あれ、このドアって、こんなに重たかったけーーーー?