悪逆の檻
もう、戻れないと、愛は薄々勘づいていた。
もし無事に生き残ったとしても、
こんな自分を知ってしまった。
友だちを裏切ろうと、考える自分に出会ってしまった。
一度割れた皿のように、
二度と、もとには戻らない。
あれと同じだ。
好きだった抹茶アイスの緑色が、
虫のフンをベースに作られた着色料のもの、
と知った時と。
もう抹茶アイスを食べられないのと同様に、
もう友だちと笑う自分を信用できない。