悪逆の檻
そんな、愛の内情などお構いなしに、
奏【かなで】は、さっそく相手と打ち解け、引き分けの約束をしようとしていた。
「神経衰弱って、パスって何回まででしたっけ?」
「いや、パスはないですよ。わざと間違えればいいんですから」
なんて、のんきな。
だけど、
そんな奏だから、一緒に生き延びれた。
しかし、
そんな奏だから、裏切らないといけない。
愛は、こっそりと嘆息した。
それでは、危険だ。
誰でも彼でも、協力してはいけない。
忘れがちだけど、
このゲームは『生き残ること』が目的ではない。
このゲームは、生き残った者が『大金を得る』。
もちろん、生き残りだけではなく、お金を獲得することも目的の人間も多いはず。
だから、馬鹿な奏はともかく、
この新しい男を信用して手を組むわけにはいかなかった。