悪逆の檻




そして、私の地獄は、ここから始まる。





もう、心の底から喜べなかった。


どんなに嬉しいこと、楽しいことでも、
冷淡な自分がいるという事実が、
それを曇らせる。



今まで、心地よく感じられていた、

友情や愛情、信頼、チームワーク、

それらの言葉が、

ただの耳障りの良い、たわごとにしか聞こえない。

うすら寒い。




だからといって、
それらを拒むこともできず、
ただ耐えることしかできない。



大人相手に、子供騙しのショーを披露しているような。
つまらない脚本の劇を演じているような。


どうにも避けようのない、つまらなさの中で暮らしている自分。







       ・・・・・・・・・・
そんな、自分が殺したいほど憎かった。







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