悪逆の檻
愛を守るために、不正をすることにした。
私が死んだら、悲しんでくれるだろうか、
私が死んだ後も、覚えていてくれるだろうか。
もしかして、
と、頭の中をよぎってしまう。
そう考えると、喉が凍りつく。
でも、愛を信じたい。
打算的で冷酷な私を乗り越えて、
友だちのために命を懸けれる私で死ねる。
それは、一番キレイですてきな死にかたかもしれない。
怖いけど、
愛がいなくなるより、よっぽどいい。
そう、これでいい。
お父さん、お母さん、お兄ちゃん。
ごめんなさい。
こんな私で、
でも、だいたい満足して死ぬから、
幸せの中で死ぬから、
あんまり悲しまないでね。
でも、ある程度は悲しんでほしいかも。
ひどいこともたくさん言ったけど、
あなたたちの子どもで幸せでした。
ケンカもたくさんしたけど、
あなたの妹で幸せでした。
うっとうしく思ったことあるけど、
あなたたちと会えて、幸せでした。
そう、伝えられないことが、心残りです。